【プロの鉄則】ドローン撮影で警察署への事前連絡は“常識”!

2025年5月18日 撮影TIPS 航空法

CM撮影、VP(企業プロモーション)制作、ドローンによる建物点検や眺望撮影など、こうした業務を行う中で、撮影現場を管轄する警察署への事前周知をきちんと実施していますか?

法令上の義務ではないものの、住宅街や人の集まる場所での飛行は、通報や誤解によるトラブルに発展することもあります。
現場対応をスムーズに進めるための“ひと手間”として、警察署への事前連絡は非常に有効な手段です。

今回は、なぜ警察署に事前周知すべきなのか、そして連絡時に必要な情報・電話応答マニュアルまでご紹介します。

なぜ警察署に連絡を入れるべきなのか?

まず押さえておきたいのは、警察署への事前連絡は法律で義務づけられているものではありません。(航空法などの申請とは異なり、任意の周知です)
しかしながら、ドローンを飛行させていると、一般市民から「不審なドローンが飛んでいる」と通報されるケースが少なくありません。

そして、通報があった場合、警察官は必ず現場に出動しなければならないというルールがあるため、現場に警察が駆けつけることになります。

このとき、警察署に事前周知がなければ、現場対応に時間がかかるばかりか、状況によっては撮影の中断を余儀なくされる可能性も出てきます。

一方で、あらかじめ警察に連絡をしておけば、通報が入った際も「事前に連絡を受けています」と内部で情報共有され、現場が混乱するリスクを大きく減らすことができます。

つまり、関係各所への信頼構築とトラブル防止の観点から、事前周知は非常に効果的かつ現実的なリスク対策といえるのです。

警察署への連絡時に準備すべき情報

以下の内容を整理し、電話で伝えられるようにしましょう。

会社名(または個人名)

撮影場所の住所

撮影内容(例:テレビCM用空撮、映画撮影など)

ドローンの種類(機種名)

機体登録番号

担当者の氏名と連絡先(電話番号)

これらは予めメモにまとめておくと、慌てずにスムーズに対応できます。

事前連絡のタイミングについて

警察署への連絡は必ず平日の日中(9:00〜17:00前後)に行いましょう。
夜間や早朝は当直職員しかおらず、警備課・生活安全課などの担当者が不在のため、正式な受理や共有がされないことがあります。

理想は飛行予定の「前日午前中」までに行っておくことです。

警察署への電話応答マニュアル

【警察署電話対応マニュアル】
電話先:該当地域の警察署(代表番号)

隣接した町名・丁目によって管轄警察署が異なることがあります。事前に警察署Webサイトで該当住所の所轄を確認しておくとスムーズです。

【STEP 1:電話交換に伝える】

「お忙しいところ失礼いたします。
ドローンを使用した撮影の事前周知の件でご連絡いたしました。
警備課または生活安全課のご担当の方にお繋ぎいただけますでしょうか?

【STEP 2:担当部署につながった後の応対例】

「私、〇〇(会社名/個人名)の△△(氏名)と申します。

本日(もしくは〇月〇日)、〇〇時頃より、
〇〇市〇〇町〇丁目付近にてドローンを使用した撮影を予定しております。
撮影内容は〇〇(例:テレビ番組の空撮、映画撮影など)になります。

ご迷惑をおかけしないように、事前にご連絡差し上げました。
万が一通報等があった場合には、私の方で対応いたしますので、
ご承知おきいただけますと幸いです。」

【よく聞かれる情報(警察官の指示に従って回答)】

・撮影日時・時間帯

・撮影場所の詳細な住所や目印

・使用目的(例:CM撮影、観光PRなど)

・ドローンの種類・型番

・登録記号・番号

・飛行形態(目視内飛行/目視外/補助者の有無など)

・担当者の氏名・会社名・連絡先

「担当は私、△△(氏名)です。
連絡先は〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇です。
何かありましたらお電話いただければ対応いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。」

どんなときに警察署への事前連絡が必要?ドローン運用時の具体的シチュエーション10選

ドローンの業務利用は年々広がりを見せており、空撮や測量、調査など多岐にわたります。
その中には、周囲の誤解を招いたり、通報リスクが高いシチュエーションも多く含まれています。

以下に挙げるのは、警察署への事前周知を特に推奨するドローン運用シーンの一例です。現場の安全確保と信頼関係の構築のため、撮影や運用前にぜひ参考にしてください。

1:テレビ番組・ニュース・バラエティー番組の空撮(住宅街や市街地)

たとえ許可を受けた私有地上空の撮影であっても、住宅街に近いエリアを飛行することで、近隣住民に不安を与え、通報されるリスクが高まります。
事前に警察署へ連絡を入れておくことで、現場での説明や対応がスムーズになります。

2:CM撮影でのドローン使用(商業施設・公共施設付近)

人通りの多い商業エリアや公共施設付近では、ドローンの飛行が目立ちやすく、一般の方が驚いて通報することも少なくありません。
市街地や都心部での撮影時は、事前周知と体制づくりが不可欠です。

3:VP(企業プロモーション)撮影での敷地内・周辺空撮

企業敷地内での撮影でも、外部から見ると「なぜ飛ばしているのか分からない」状況になりやすく、通報される可能性があります。
特に警戒度の高い施設周辺では、警察だけでなく、近隣事業者にも一言伝えておくと安心です。

4:不動産の眺望撮影(マンション上空・密集地周辺)

マンション建設予定地での眺望撮影では、隣接するマンションやビルの住民が“盗撮ではないか”と誤解し通報するケースが多く発生しています。
事前にビラ配布や説明会を行い、理解を得てから撮影に入ることがトラブル防止に効果的です。

5:赤外線ドローンによる建物・屋根の点検

赤外線外壁点検など長時間飛行していて不審に思われやすい作業です。
特に長時間の撮影を伴う場合は、近隣住民へのビラ投函、看板設置などで作業内容を明示しましょう。

6:写真測量(造成地・都市開発地・道路沿い)

住宅造成地やインフラ工事予定地での測量は、地域住民や通行人から通報されることがあります。
警察署に事前連絡を入れておけば、通報対応の際も状況把握が早く、現場の負担が軽減されます。

7:建設現場での定点記録・進捗管理撮影

建設現場の定期空撮では、近隣の住宅やオフィスビルに接していることが多く、上空にドローンがあるだけで通報されるケースがあります。
事前連絡と簡易な説明看板の設置で、無用なトラブルを防ぐことが可能です。

8:観光地・名所でのPR映像制作(世界遺産・景勝地など)

観光名所は一般にドローン飛行が禁止されているケースが多く、たとえ自治体依頼で撮影許可を得ていても、現地の看板表示と矛盾して見えることがあります。
観光客や住民が誤って通報する可能性が高いため、自治体にも迷惑がかからぬよう、警察署への事前連絡は徹底しましょう。

9:イベント上空からの群衆撮影(マラソン・フェス・花火大会など)

イベント上空は航空法でも特に厳しい審査基準が求められて個別申請を実施しなければ飛行できないことが多いです。
また、大規模イベントでは許可のない“野良ドローン”が紛れて飛行していることもあるため、警察・主催者と連携し、「正規の撮影班」であることを明示する目的でも、事前周知は不可欠です。
無許可ドローンを発見した場合は速やかに通報しましょう

10:インフラ点検(橋梁・堤防・送電線等)

橋梁や堤防、送電線などの点検では、高所や公共エリアを飛行するため、周囲から見ると作業内容が分かりづらく、誤解を生むことがあります。
特に人の目に触れやすい都市部では、作業前に警察署へ連絡し、必要に応じて自治体・近隣住民への情報提供も行いましょう。

✔ まとめ:業務だからこそ、事前連絡で“信用”を築く

これらの業務はすべて正当な商用利用であり、航空法・関係法令に則って飛行するものであっても、
第三者からは「何をしているのか分からない=不安」に映ることがあります。

警察署への事前連絡は義務ではありませんが、通報対応がスムーズになり、現場での信頼構築・撮影効率の向上につながります。

映像制作や点検、調査といった専門業務を支えるプロフェッショナルだからこそ、
“飛ばす前に知らせておく”という一手間を、ぜひルーティン化していきましょう。