ドローン空撮業者が選ぶ【最高峰ドローンInspire 3】

2025年5月11日 撮影技術 撮影機材

DJIから2023年4月12日に発表された最新のシネマドローン。先代のInspire2の発売から約7年。

CM撮影、映画撮影、VP撮影などクオリティの求められる撮影現場にはかかせない機体性能とカメラスペック!

フルサイズ8K映像制作:Zenmuse X9-8K Airカメラ

Inspire 3は、フルサイズセンサーを搭載したZenmuse X9-8K Airカメラを採用し、最大8K/75fpsのProRes RAWや8K/25fpsのCinemaDNGでの内部記録が可能です。​14+ストップのダイナミックレンジとデュアルネイティブISOにより、昼夜を問わず高品質な映像を実現します。 ​

デュアル機体フレーム形態:360°パン&チルトブースト

Inspire 3は、80°チルトブーストと360°パンの2つの機体フレーム形態を備えています。​これにより、ジンバルの可動範囲が拡大し、被写体を追従しながらの撮影や、複雑なカメラワークが可能となります。

O3 Pro映像伝送とデュアル制御

O3 Pro映像伝送システムにより、最大15km(FCC基準)または8km(日本国内基準)までの高品質な映像伝送が可能です。​また、デュアル制御モードでは、操縦者とカメラオペレーターが独立して操作でき、複雑な撮影シーンにも対応します。

RTKによるセンチメートル級の精密飛行

Inspire 3は、RTK(リアルタイムキネマティック)測位技術を搭載し、センチメートル級の位置精度を実現します。​これにより、Waypoint Pro機能を活用した精密な飛行経路の設定や、繰り返し撮影が求められるシーンでの高精度な再現が可能です。

全方向障害物検知と安全性

全方向障害物検知システムを備え、飛行中の安全性を確保します。​これにより、複雑な環境下でも安心して撮影に集中できます。

長時間飛行と効率的なバッテリー管理

最大28分の飛行時間を実現し、長時間の撮影にも対応します。​また、折りたたみ可能なバッテリー充電ハブにより、8つのバッテリーを同時にセットでき、急速充電モードではわずか35分で2つのバッテリーを90%まで充電可能です。 ​

特機としての運用:3Dドリー&反復ルート撮影

Inspire 3は、Waypoint Pro機能を活用することで、「3Dドリー」や「反復ルート」といった特殊な移動撮影を可能にします。これにより、従来であればレールドリーやクレーンといった大型機材が必要だったカメラワークを、ドローン1機で再現できるようになります。

3Dドリー

任意の軌道上を繰り返し飛行させることで、非常に滑らかかつ正確な移動ショットを得られます。カメラ設定(画角・フォーカス・ジンバル角度など)を完全に記録・再現可能なため、VFXやマルチテイクの撮影にも最適です。

反復ルート

同一ルートをミリ単位の精度で複数回飛行する機能で、季節変化の定点観測やインターバル的撮影、また照明や構図の微調整によるベストショットの追求にも活用できます。

これらの機能は、RTK測位によるセンチメートル級の精度をベースに構築されており、精密で再現性のあるショットが求められる映画やCMの現場で、特機チームの一翼を担う存在となります。

機体スペック

機体重量3995g
最大飛行時間約28分
運用限界高度標準プロペラ:3800m
高地用プロペラ:7000m
最大風圧抵抗飛行中:14m/s
離着陸:12m/s
最大水平速度94km/h
最大上昇速度8m/s
動作環境温度-20℃~40℃
ライブビュー品質FPVカメラ:最大1080p/60fps
ジンバルカメラ:最大1080p/60fps、4K/30fps
最大ライブ動画ビットレート50 Mbps
最大伝送距離シングル制御モード:(日本版)
FPVカメラ:8 km (CE/SRRC/MIC
ジンバルカメラ(1080p/60fpsライブ映像):7 km (CE/SRRC/MIC)
ジンバルカメラ(4K/30fps ライブ映像):3 km (CE/SRRC/MIC)

デュアル制御モード:(日本版)
FPVカメラ:6.4 km (CE/SRRC/MIC
ジンバルカメラ(1080p/60fpsライブ映像):5.6 km (CE/SRRC/MIC)
ジンバルカメラ(4K/30fpsライブ映像):2.4 km (CE/SRRC/MIC)
動作周波数2.4000~2.4835 GHz
アプリDJI Pilot2
FPVカメラFOV161°
FPVカメラ解像度1920×1080@60fps

Zenmuse X9-8K Air

センサー35mmフルサイズCMOS
最大解像度写真:8192×5456
動画:8192×4320
動画解像度詳細リストを確認
対応レンズDL 18mm F2.8 ASPHレンズ
DL 24mm F2.8 LS ASPHレンズ
DL 35mm F2.8 LS ASPHレンズ
DL 50mm F2.8 LS ASPHレンズ
DL 75mm F1.8
写真フォーマットJPG,DNG
動画フォーマットMOV、CinemaDNG
シャッターの種類電子シャッター
カメラ操作可能範囲チルト(ランディングギアが下がった状態):
ジンバルチルト限界拡張前:-90° ~ +30°
ジンバルチルト限界拡張後:-115° ~ +100°

チルト(ランディングギアが上がった状態):
ジンバルチルト限界拡張前:-90° ~ +30°
ジンバルチルト限界拡張後:-140° ~ +75°
ロール:±20°
パン:±300°
カメラ最大操作速度DJI RC Plus送信機使用時:
チルト:120°/s
ロール:180°/s
パン:270°/s

DJI Master Wheels使用時:
チルト:432°/s
ロール:432°/s
パン:432°/s

CinemaDNG
最大8K/25fps

CodecResolutionImage AreaAS比Sensor FPS (MB/s)
23.9762425
CinemaDNG8.1KFull Frame17:9
(8192×4320)
810810844
CinemaDNG8KFull Frame2.39:1
(8192×3424)
759759791

CinemaDNG
S&Qモード撮影 最大4K/100fps

CodecResolutionImage AreaAS比Sensor FPS (MB/s)
727596100
CinemaDNG4.1KFull Frame17:9
(8192×4320)
607632810844
CinemaDNG4KFull Frame16:9
(7680×4320)
569832759791

ProRes RAW
最大8K/75fps

CodecResolutionImage AreaAS比Sensor FPS(MB/s)
23.976242529.9730485059.9460
ProRes RAW8.1KFull Frame17:9
(8192×4320)
405405422253253405422506506
ProRes RAW8KFull Frame16:9
(7680×4320)
380380396237237380396475475

ProRes RAW
S&Qモード撮影 最大4K/120fps

CodecResolutionImage AreaAS比Sensor FPS (MB/s)
727596100119.88120
ProRes RAW4.1KFull Frame17:9
(8192×4320)
304317405422253253
ProRes RAW4KFull Frame16:9
(7680×4320)
285297380396237237

CinemaDNG VS ProRes RAWでの収録のポイント

条件推奨EICinemaDNGProRes RAW
明るい屋外EI 800ハイライト保持・最大DR画質と編集速度のバランス
室内・夕方EI 4000シャドウ情報豊富に収録ノイズが少なく編集が容易
夜間や低照度EI 6400以上白飛びケア要・ノイズ処理が鍵ノイズリダクション前提でワークフロー良好

※8K23.976fps,24fps,25fps収録の場合の参考値↑

ダイナミックレンジの比較

EI合計DRハイライトシャドウ解説(RAW
への影響
20013.2 stops5.18.1白飛び注意。CinemaDNGでは回復不可
800(native)14.1 stops7.17.0最もバランスが良く理想的
4000(native)14.7 stops7.17.6シャドウが伸びる。暗部に強い
640014.0 stops6.47.6実質的な明部の余裕が減る
1280013.7 stops6.37.4暗所には良いが白飛び注意。

DLレンズラインナップ

レンズ名主な特徴活用シーン
DL 18mm F2.8 ASPH超広角・最小歪み都市全景、渓谷、建築のスケール感強調
DL 24mm F2.8 LS ASPH広角・自然なパース車両追尾、滑らかな追従ショット
DL 35mm F2.8 LS ASPH標準画角・遠近感バランス物体中心の構図、汎用的な構成に
DL 50mm F2.8 LS ASPH中望遠・圧縮効果背景を引き寄せた迫力ある構図
DL 75mm F1.8 明るい望遠・美しいボケボケを活かした被写体強調、映画的焦点操作に最適

まとめ|Inspire 3は、空撮業者にとって標準となる機材

DJI Inspire 3は、当社のようなドローン空撮・撮影業者にとって必要不可欠な機材です。操縦技術に応えてくれる機体性能、フルサイズ8K収録に対応したX9-8Kカメラ、センチメートル級のRTK測位、Waypoint Proによる3Dドリーや反復ルートなど、現場での実用性と撮影精度の両立を実現しています。

弊社では、実際にInspire 3を導入し、CM、映画、プロモーション映像など幅広い案件で活用しています。特機としての運用も含め、従来の空撮では難しかった高度で繊細な映像表現を可能にするこの機体は、まさに「撮れる表現の幅を広げる一台」です。
Mavic3やMavic4には撮影できない画を撮ることが可能です!

Inspire 3での撮影をご希望の方や、機材導入のご相談などがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。現場目線で最適なご提案をさせていただきます。