冬は、空気が澄み渡り、美しい雪景色やイルミネーションなど、ドローン空撮の絶好の機会です。しかし、気温の低下や雪、冬特有の気象条件は、ドローン飛行に様々な危険をもたらします。安全にドローン飛行を楽しむためには、冬の安全対策をしっかりと理解し、万全の準備をすることが不可欠です。
この記事では、ドローンユーザーや映像制作会社向けに、冬のドローン飛行における安全対策を徹底解説します。気温、バッテリー、機体、操縦技術、飛行計画など、あらゆる側面から安全対策を網羅し、安全なドローン飛行をサポートします。
目次
気温低下による影響と対策
冬の気温低下は、ドローンに様々な悪影響を及ぼします。
バッテリー性能の低下
リチウムイオン/リチウムポリマーバッテリーは、低温下では性能が低下し、飛行時間が短くなったり、最悪の場合、墜落につながる可能性があります。
対策:
・飛行前にバッテリーを十分に充電する。
・バッテリーを温める。20度〜30度を目安とする。
・バッテリーの電圧確認を実施する。
・電圧低下を防ぐために急激なスロットル操作を行わない。
・残量40%程度で着陸させる
機体凍結
機体に雪や水分が付着し、凍結すると、モーターやプロペラの動作不良、センサーの誤作動などを引き起こす可能性があります。
対策:
・飛行前に機体、レンズ、プロペラに雪や水分が付着していないか確認する。
・霧(山霧、川霧、海霧)、雲に注意する。水蒸気のかたまりなので機体に水分が付着します。
センサーの誤作動
気温低下により、障害物、ビジョンセンサー等が誤作動を起こし、機体の制御が不安定になる可能性があります。寒さにより普段は起きない予期せぬエラーが出る場合があります。
対策:
・飛行前にセンサーの動作確認を行う。センサーに雪が付着しないようにしましょう。
・雪の付着を防ぐ。離発着はヘリパッドを活用しましょう。
・目視内飛行範囲を心掛ける
冬の気象条件と対策
冬は、雪、強風など、ドローン飛行に危険な気象条件が発生しやすい季節です。
雪
視界不良、機体凍結、墜落などの危険性があります。
北海道の乾いた雪と、本州の湿った雪では環境が全然異なります。
対策:
・大雪の場合は飛行を中止する
・飛行前に気象情報を確認し、安全な飛行範囲を把握する
乾いた雪は機体やレンズに付着しにくく、湿った雪はプロペラやレンズに付着します。
強風
機体の制御が不安定になり、墜落や紛失の危険性があります。
対策:
・強風時は飛行を中止する
・風速計を使用し、風速を確認する
・風速が急変する可能性を考慮し、常に安全な場所に退避できるようにする
機体の耐風性能以上の風速では飛行させないようにしましょう。
霧
視界不良、機体凍結、緊急停止などの危険性があります。
霧の中を飛行させると起こる現象
・プロペラの凍結
飛行性能が著しく低下して墜落の恐れが高まります。
・強制着陸
霧が濃いとセンサーの誤作動で着陸が開始される場合があります。すぐに解除して正しい場所へ帰還させましょう。
霧が発生している時は飛行させないようにしましょう。
冬の安全飛行のためのTIPS
バッテリーの保温方法
温冷庫
車両をベースにして飛行させることが可能な場合は温冷庫を活用しましょう。
各社から温冷庫が発売されています。普段使用する機体のバッテリーサイズに合わせて容量を選びましょう。
弊社はマキタの充電式温冷庫CW004G(容量29L)を機材車に常備しています。
冬場の設定温度は35~40度に設定。蓋の開閉頻度で温度が保たれないので高めに設定しておいても問題ないです。
バッテリーでも駆動するので多少の移動距離であれば持ち運ぶ事も可能です。持ち運ぶことが多い時は容量が小さなものを選びましょう。

電気ブランケット
電源が確保できない場所や機動力が求められる場合には電気ブランケットを使用します。
モバイルバッテリーから給電ができるタイプが望ましいです。保冷バックや発泡スチロールの中で温めておきましょう。バッテリーの消費が激しいのでモバイルバッテリーの容量に注意しましょう。
温まるのが遅いので出発前から保温しておくのがポイントです。
電気ブランケットは水蒸気が発生しないので結露しないのがGood!!
車の暖房
温冷庫がなくても駐車中であれば車の暖房をつけてダッシュボードなどで温めましょう。温度管理がしずらく暖房全開にして温風を当て続けるとバッテリーが高温になりすぎてしまうので注意が必要です。
早朝などアイドリングが迷惑になる場合は使用しないようにしましょう。
人肌で保温
何も温めるものがない場合にはポケットに忍ばせて人肌で温めましょう。
自己発熱機能を使う
機種によってはバッテリーの自己発熱機能があります。一定の温度以下の場合に機体に装着して電源を入れておくと温めてくれます。容量を消費するので飛行時間は短くなる傾向があります。
NGな保温方法
ホッカイロ
ホッカイロは酸化反応で発熱します。密閉された状態で使用すると内部が結露する場合があります。ポケットの中等であれば問題はないと思いますが、保冷バックや発泡スチロールなどの密閉されたケースの中にホッカイロをつめてバッテリーを温めるのは避けた方がよいです。
バッテリー装着する際は端子部分の結露やゴミの付着などがないように入念にチェックしましょう。ゴミを除去する時は必ずブロワーを使用しましょう!冬場に息を吹きかけるのは結露するのでご法度です。
機材の結露防止
暖かい室内から寒い屋外に持ち出した際に撮影機材が結露してしまう場合があります。それらを防ぐためには急激な温度変化を避けなければいけません。
段階的に温度を調整する
レンズ、カメラ一体型ドローン(Mavic等)は徐々に外気温に慣らすように屋外に出る前に玄関などの中間的な温度の場所に一時的に置いておき徐々に外気温に慣らす。
当社は寒冷地の撮影ではレンズ、ジンバル類は車に保管しておくことが多いです。出発が早朝のことが多く外気に徐々に慣れさせることができないので仕方なくですがこの方法をとっています。
移動中の車内で暖房にあてない
機材を生身で出した状態で移動してしまっては温度変化に対応できません。ケースに入れたままにして暖まらないように工夫しましょう。
シリカゲルを使用する
カメラバックや、ビニール袋にシリカゲルなどの除湿剤を一緒に入れておくことで、湿気を吸収し結露を防ぐ効果があります。(効果は薄い)
朝露や霧に注意
早朝の機材セッティング時に機材が朝露で結露してしまう場合があります。雨上がりの晴れた早朝などは特に放射冷却で朝露や霧が発生しやすいので注意してください。グランドシートなどを使用して地表からの水分を防いだり、防水カバーで機材類を覆っておきましょう。
撮影後の注意
撮影前と同様に寒冷地から暖かい室内に入る際は注意が必要です。徐々に室温に慣らしましょう。
手と指先の防寒
TRICO.がおすすめするとっておきの方法をご紹介ドローンオペレーターにとって指先の冷えは悩みのタネだと思います。指先が冷えると感覚がなくなり細かな操作をすることができなくなります。手袋をしたまま操縦する事もできないのでいかに指先を冷やさないようにするかがポイントです。
手袋
mont-bellのクリマプレンフィッシンググローブです。ストレッチ性に優れた素材を立体裁断しているので手へのフィット感と操作感覚が非常に優れています。ドローンを操縦する時は親指、人差し指、中指の3本を露出させることができます。手へのフィット感を追求するために1サイズ小さいものを選ぶといいでしょう。
大型量販店に行けば比較的簡単に手に入るのもおすすめのポイントです。

手首を保温する
指先の冷えは血流が悪化することにも起因します。そのため手首を保温してあげることにより指先の冷えを抑えることが可能です。
そこでオススメするのがダイソーで売っている肘サポーターを活用する方法です。肘サポーターを折り曲げてその中にホッカイロを入れます。そうすることでどんなタイプのホッカイロも手首に固定することが可能です。わざわざ専用品を購入する必要もありません。
手首の太さによってサポーターのサイズを変えると男女問わず活用できる方法です。


上記の手袋と手首の保温で真冬の北海道の屋外徹夜案件でも指先が冷えることなくドローンのオペレーションをすることができます。
-10℃までは耐えられた実績があります!
スチールカメラマンの方々も試してみてください!
まとめ
冬のドローン飛行は、美しい景色を撮影できる魅力的な機会ですが、同時に様々な危険も伴います。安全にドローン飛行を楽しむためには、冬の安全対策をしっかりと理解し、万全の準備をすることが不可欠です。この記事で解説した安全対策を参考に、安全で快適なドローン飛行を実現してください。