【小型無人機等飛行禁止法とは】対象施設と飛行許可の取り方

2025年4月23日 撮影TIPS 航空法

国の重要施設や空港周辺など、特定のエリアでは「小型無人機等飛行禁止法」に基づき、ドローンの飛行が原則として禁止されています。

この記事では、「飛行禁止エリア」とは具体的にどのような場所なのか、そして例外的に飛行させるためにはどのような手続きが必要なのかを分かりやすく解説します。

なぜ飛行禁止エリアが設けられているのか?
小型無人機等飛行禁止法の概要

法律の目的と対象

「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」、通称「小型無人機等飛行禁止法」は、国会議事堂、首相官邸、皇居、外国公館、原子力事業所といった国の重要施設等に対する危険を未然に防止することを目的としています。

この法律で規制される「小型無人機等」には、ドローン(マルチコプターなど)のほか、ラジコン飛行機、100g未満の模型航空機なども含まれます。

これらの機体が重要施設やその周辺で許可なく飛行することが禁止されています。

警察庁HPhttps://www.npa.go.jp/bureau/security/kogatamujinki/index.html

飛行が禁止される「対象施設周辺地域」とは?

飛行が禁止されるのは、対象施設の敷地・区域(レッドゾーン)とその周囲おおむね300メートルの地域(イエローゾーン)の上空です。具体的にどのエリアが対象となっているかは、国土地理院のウェブサイトや各都道府県警察のウェブサイト等で公開されている地図で確認することができます。

警察庁のサイト

警察庁https://www.npa.go.jp/bureau/security/kogatamujinki/index.html

・国の重要な施設
 国会議事堂、内閣総理大臣官邸、最高裁判所、皇居等
 危機管理行政機関の庁舎
 対象政党事務所

・対象外国公館等
・対象防衛関係施設(令和元年改正)
・対象空港(令和2年改正)
・対象原子力事業所

飛行計画を立てる際には、必ず事前に飛行予定エリアがこれらの地域に該当しないかを確認する必要があります。特に空港周辺も飛行禁止エリアに含まれており、航空法とは別にこの法律の規制対象となる点に注意が必要です。

禁止エリアでドローンを飛行させるための条件と手続き

飛行禁止の例外処置

原則飛行禁止ですが、以下のような特定の条件下では、都道府県公安委員会(空港周辺の場合は空港管理者も)への事前の「通報」手続きを行うことで、例外的に飛行が認められる場合があります。

1、対象施設の管理者またはその同意を得た者による飛行

2、土地の所有者もしくはその同意を得た者による飛行(当該土地の上空のみ)

3、国または地方公共団体の業務実施のための飛行

ただし、対象防衛関係施設及び対象空港の敷地又は区域の上空(レッドゾーン)においては、
・土地の所有者もしくは占有者が当該土地に上空において行う飛行
・国または地方公共団体の業務を実施するために行う飛行
であっても対象施設の管理者の同意が必要です。

誰に、いつまでに、どうやって申請(通報)する?

飛行させる場所を管轄する都道府県公安委員会です。具体的には、飛行エリアを管轄する警察署を経由して通報書を提出します。

注意点1: 対象施設が複数の警察署の管轄にまたがる場合は、主に飛行する場所を管轄する警察署、または対象施設の所在地を管轄する警察署に提出します。

注意点2: 空港周辺地域で飛行させる場合は、都道府県公安委員会への通報に加えて、別途空港管理者への通報も必要です。

【申請(通報)期限】 飛行を開始する48時間前までに行う必要があります。ただし、書類の確認や審査には時間がかかる場合があるため、1週間~10日前など、できるだけ余裕をもって手続きを行うことを強く推奨します。

【申請(通報)方法】 各都道府県警察のウェブサイト等で入手できる「小型無人機等の飛行に関する通報書」に必要事項を記入し、必要な添付書類と共に管轄の警察署に提出します。
管轄警察署が遠方にある場合には申請サイトから申請することも可能です。

URL↓
警察行政手続きサイト

通報様式のダウンロード

都道府県公安委員会等への通報については、小型無人機等飛行禁止法施行規則で様式が定められています。

・施設管理者等の通報の場合(施行規則第3条関係)
 別記様式第1号
・公務従事者の場合(施工管理規則第4条関係)
 別記様式第2号

掲載ページ→警察庁HP

申請(通報)に必要な書類と注意点

主な必要書類リスト

通報に必要な書類はケースバイケースですが、一般的に以下のものが求められます。

小型無人機等の飛行に関する通報書: 飛行日時、場所、目的、機体の種類、操縦者の氏名・連絡先などを記載。

飛行経路を示す地図: どの範囲を飛行させるか具体的に示したもの。

同意を証明する書類の写し: 土地所有者や施設管理者から飛行の同意を得ている場合。(同意書の様式は指定なし)

機体の仕様がわかる書類: 機体の写真や性能諸元が記載されたもの。機体の登録番号とシリアルナンバーも必要。

操縦者に関する書類: 身分証明書及び技能証明書の写しなど。

その他公安委員会が必要と認める書類

必要書類は事前に管轄の警察署に確認するのが確実です。
万博会場などの特殊なエリアは申請方法が異なるので、発注者の指示を仰いでください。

申請・飛行時の重要注意点

許可(通報受理)条件の遵守: 通報が受理され、飛行が認められた場合でも、通報書に記載した日時、場所、経路、方法などを厳守する必要があります。条件に違反すると罰則の対象となる可能性があります。
許可を受けた期間中に飛行させる日が確定した場合には管轄警察署に必ず報告してから実施しましょう。

航空法との関係: この法律による飛行禁止エリアの通報手続きとは別に、航空法に基づく飛行許可・承認が必要です。例えば、人口集中地区(DID)上空、夜間、目視外、人や物件から30m未満での飛行などが該当します。飛行禁止エリアかつ航空法の規制対象となる空域で飛行する場合は、両方の手続きが必要です。

罰則: 無許可(通報なし)で対象施設周辺地域の上空を飛行させた場合、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられる可能性があります。

・許可が受理された書面は原本または電子データを携行して撮影業務にあたってください。

最新情報の確認: 法令や手続き、対象エリアは変更される可能性があります。必ず飛行前に警察庁、国土交通省航空局、管轄の都道府県警察、空港事務所などのウェブサイトで最新の情報を確認してください。
特に外国の要人が来日している際には臨時でエリアが設けられる場合があります。

まとめ

小型無人機等飛行禁止エリアでのドローン飛行は原則として禁止されていますが、法律で定められた要件を満たし、管轄の都道府県公安委員会(および必要に応じて空港管理者)へ事前に通報手続きを行うことで、飛行が認められる場合があります。

手続きは煩雑な面もありますが、重要施設の安全確保とドローンの安全な利活用の両立のために不可欠なルールです。

この記事を参考に、必要な手続きを正確に理解し、関係機関に事前に相談しながら、余裕をもって準備を進めましょう。法令を遵守し、安全意識を高く持ってドローンを運用することが最も重要です。

余談ですが、法律施行当初は警察署も認知している警備課or生活安全課の署員がおらず警察署に赴き、航空法を教えてあげながらの申請作業を実施していました。そんなことをしていると警視庁管内で名前を出すと認知されている時期がありました。

今では、どこの警察署に問い合わせても担当の署員が配置されており申請がスムーズに進むようになりました。