Netflix認定ドローン【DJI Inspire3】

2025年4月11日 ドローン全般 撮影機材

🎬Netflix認定ドローン「DJI Inspire 3」が映画制作に新たな選択肢を

2025年DJIの最新ドローンカメラ「Inspire 3」が、Netflixのカメラ認定プログラムにおいて、ドローン機材として初の正式認定を受けました。これは、空撮技術がハリウッド品質の映像制作に本格的に組み込まれることを意味し、プロフェッショナルな映像制作の現場にとって大きな転機となります。

📸なぜ「Inspire 3」が選ばれたのか?

Inspire 3に搭載されたZenmuse X9-8K Airカメラは、最大8.1K解像度の撮影が可能。Netflix 4K Originalsに必要な基準をクリアするだけでなく、それを大きく上回る性能を持ち合わせています。以下のフォーマットでの撮影がサポートされており、あらゆる制作スタイルに対応します。

🎨色彩とルック管理も万全

全フォーマットにおいてD-Logでの収録が可能で、カラーグレーディングに柔軟性を持たせつつ、HDRやRec.709といったLUTの活用にも対応しています。また、ACESワークフローや歪曲補正、D-Gamutプロファイルの適用にも完全対応しており、映画品質のルック作りが可能です。

🚁ドローンならではのメリット

Inspire 3はドローンとしての性能も業界最高峰です。RTK(リアルタイムキネマティック)による精密飛行、FPVビューの高画質化、縦撮りモードやウェイポイント機能など、空撮に必要な最新技術が詰め込まれています。これにより、地上撮影とシームレスに組み合わせられる空中ショットを、圧倒的な品質で提供できます。

📜Netflixの認定ルールとは?

Netflixのオリジナル作品では、「本編尺の90%以上を認定カメラで撮影する」という厳格なルールがあります。このルールは、映像品質の一貫性とポストプロダクションでの色補正・編集の最適化を目的としています。そのため、これまでドローンによる空撮映像は、あくまで補助的に使用されるケースが多く、非認定機材での採用には限界がありました。

しかし今回、Inspire 3が正式にNetflix認定を受けたことで、ドローンによるショットが「本編尺90%」に含まれることが可能になったのです。これは、作品制作にとって空撮シーンの活用範囲が飛躍的に広がります。

収録条件

解像度Minimum of 3840 photosite capture width (Spherical)
コーデック軽圧縮または非圧縮のRAW
4:2:2クロマサブサンプリング以上のイントラフレームベースコーデック
ビットレート10bit以上
データレート24FPSで240Mbps以上
カラースペースシーンリファードカラースペース
S.Gamut3,ALEXA WideGamutなど
Transfer FunctionScene-referred Transfer Function
Slog3,LogC,Log3G10,VLogなど
タイムコードシステムは、外部ソースへの同期が可能である。
タイムコードはメタデータとして書き込むこと

📏Netflixが認定外カメラの使用を許容するケース

✅認められる主なケース:

小型カメラや特殊カメラの使用(例:GoPro、スマホ、アクションカムなど)

撮影環境に制限がある場面(水中、狭所、極端な高所など)

明確なクリエイティブ意図がある場合(例:監視カメラ視点、モノローグ的な演出など)

❗申請と許可が必要

認定外カメラを使う場合でも、制作開始前にNetflixのProduction Technologyチームに事前申請し、承認を得る必要があります。
申請では以下のような情報が求められます:

・使用目的とシーンの内容

・使用するカメラとフォーマットの詳細

・画質や編集への影響が最小限であることの証明

🎥画質の一致にも注意

たとえ認定外カメラを使えたとしても、「本編との映像クオリティの差が目立たないこと」が重要です。そのためには、カラースペースやフレームレート、収録LUTなどをできるだけ統一する必要があります。

🎞収録推奨フォーマット

1. CinemaDNG

コーデック: CinemaDNG

解像度(フレーム):

 8.1K 17:9 (Full Frame)

 8K 16:9 (Full Frame)

 5.5K 17:9 (S35)

LUT設定: D-Log

2. ProRes RAW

コーデック: ProRes RAW

解像度(フレーム):

 8.1K 17:9 (Full Frame)

 8K 16:9 (Full Frame)

 8K 2.39:1 (Full Frame)

 5.5K 17:9 (S35)

LUT設定::D-Log

3. ProRes 422 HQ

コーデック: ProRes 422 HQ

解像度(フレーム):

 8.1K 17:9(Full Frame)

 8K 16:9 (Full Frame)

LUT設定:D-Log

4. H.264

推奨設定ではないがH.264を使用する場合は必ずD-logにて収録

コーデック: H.264

解像度(フレーム):

 4.1K 17:9(Full Frame)
 4K 16:9 (Full Frame)

LUT設定:D-Log

5.ハイスピード撮影(高FPS)設定

フォーマット最大FPS対応解像度(収録/センサー)
CinemaDNG25fps8192×4320, 7680×4320 (Full Frame)
100fps4096×2160, 3840×2160 (Full Frame)
50fps5568×2952, 5248×2952 (S35)
ProRes RAW60fps8192×4320, 7680×4320 (Full Frame)
75fps8192×3424 (Full Frame)
120fps4096×2160, 3840×2160 (Full Frame)
60fps5568×2952, 5248×2952 (S35)
ProRes 422 HQ
30fps
8192×4320, 7680×4320 (Full Frame)
120fps4096×2160, 3840×2160 (Full Frame)
60fps4096×2160, 3840×2160 (S35)
H.264
120fps
4096×2160, 3840×2160 (Full Frame)
60fps4096×2160, 3840×2160 (S35)

収録フォーマット一覧

🧰 パフォーマンス最適化 & メンテナンス

推奨ダウンロードリンク:

X9-8K Airの技術資料

・ACES IDT(D-Log/D-Gamut用)とワークフローガイド
ACES IDT & Workflow

・CinemaDNG 編集ワークフロー:
Editing Workflow for CinemaDNG (PDF)

・レンズ歪み補正ガイド:
Lens Distortion Correction Guide (PDF)

・LUT ファイル(D-Log → Rec.709, HLG):
同上ダウンロードページにて配布

まとめ

Netflixの撮影でドローンを活用する場合は、認定カメラを保有して使い込んでいる業者に依頼しましょう。

株式会社TRICO.はInspire3を2機体制で現場運用しています。

お問い合わせお待ちしております!