ドローン撮影業者が必ず行う安全・確実な撮影のための撮影準備

2025年5月29日 撮影技術 撮影機材

撮影案件の事前確認と機材リスト作成

撮影内容の詳細確認

・撮影企画の確認(目的、テーマ、雰囲気)

・被写体、ロケーション(地形、建造物、広さなど)の確認

・必要な画角、高度、スピード、カメラワークなどのイメージ共有

・納品形式、解像度、フレームレートなどの技術仕様確認

香盤、コンテ、カット割の確認と理解

・撮影スケジュール(タイムライン)全体の把握

・各カットの意図、構図、カメラワークの再確認

・ドローンでの撮影箇所、飛行ルート、撮影時間帯の確認

必要な機材リストの作成

・撮影内容、ロケーション、期間、天候予測に基づいた具体的な機材の洗い出し

・メイン機材(ドローン本体、カメラ、レンズ、送信機など)

・補助機材(モニター、バッテリー、充電器、記録メディアなど)

・安全対策機材(消火器、コーン、ロープなど)※撮影場所による

・その他、案件固有の必要機材

機材本体の動作確認とメンテナンス

機材リストに基づき、一つ一つの機材を丁寧にチェックします。

ドローン本体

外観チェック

プロペラ、アーム、ランディングギア、機体表面に傷や亀裂がないかを目視で確認

起動確認

電源が正常に入るか、異音がないか

ファームウェア・アプリの確認と更新

ドローン本体、送信機、インテリジェントバッテリー、カメラ、アプリ(DJI Fly, Pilotなど)のバージョンを確認。最新でなければ更新。

※重要:更新した際は必ずテストフライトを実施してから現場に入る

IMU/コンパスのキャリブレーション

必要に応じて実施。事前テストフライト時がベスト

各センサーの確認

障害物センサーなどが正常に機能するか(設定画面などで確認)

セカンドプロポ(マスター/スレーブ)の接続確認

連携が正常に行われるか

カメラシステム(ドローン搭載カメラ)

カメラ本体の動作確認

電源、各ボタン、ダイヤルが正常に機能するか

基本設定の確認

・撮影モード、解像度、フレームレート、カラープロファイル(D-Log, HLGなど)、記録形式(MP4, MOVなど)の設定確認

・ISO、シャッタースピード、絞り(レンズ側)の調整機能確認

・ホワイトバランス設定の確認

レンズの確認と清掃

・対応レンズ全種が揃っているか確認

・レンズ表面(前玉、後玉)にホコリ、指紋、汚れがないか、ブロアーやレンズクリーナーで丁寧に除去

・レンズに傷や曇りがないか確認

・ズームリング、フォーカスリングがスムーズに動作するか確認

センサーの確認と清掃

・センサーにホコリやゴミが付着していないか目視で確認

必要であれば、ブロアーやセンサー清掃キットで慎重に清掃

フィルターの確認と清掃:

・NDフィルター、PLフィルター、UVフィルターなど、必要なフィルターが揃っているか確認

・フィルター表面にホコリや汚れがないか、レンズ同様に清掃

・フィルターネジ部に問題がないか確認

ジンバルの動作確認:

・電源オン時の自動キャリブレーションが正常に行われるか

・パン、チルト、ロール方向がスムーズに動作するか

・各モード(フォローモード、FPVモードなど)への切り替えと動作確認

・ジンバルキャリブレーションが必要か確認

フォーカスシステムの接続確認

・DJI 3ch Focusがカメラ/ジンバルと正常に連携し、動作するか

モニター、映像伝送システム

・高輝度モニター本体の動作確認: 電源、輝度調整、入力切替などが正常か

・モニター画面の清掃: 指紋や汚れを拭き取る

・映像伝送の確認: ドローンからの映像がモニターに遅延なくクリアに伝送されるか。複数のモニターを使用する場合は全て確認。

・送信機内蔵モニター(スマートフォン/タブレット含む)の確認: アプリ表示、映像表示が正常か

バッテリーと記録メディアの管理

安定した運用にはバッテリーと記録メディアの準備が不可欠です。

バッテリー関係

ドローン用インテリジェントバッテリー

・全てのバッテリーを満充電にする

・バッテリー情報(充電回数、電圧など)を確認

・膨張や破損がないか外観を確認

・必要飛行時間を確保できる本数があるか確認

アクセサリー関連バッテリー

・送信機用バッテリー: 満充電になっているか

・モニター用バッテリー: 満充電になっているか

・フォローフォーカス用WB37、Vマウントバッテリー: 満充電になっているか

その他

・充電器、充電ハブ、モバイルバッテリー等の動作確認

・バッテリーヒーター(寒冷地の場合)の準備と動作確認

記録メディア

・使用するメディア(SDカード、microSDカード、SSDなど)の確認

・フォーマット: 必ず現場で使う機材でフォーマットする

・十分な容量の確保: 撮影時間、解像度、コーデックから必要な総容量を計算し、十分な枚数・容量のメディアを準備

・予備メディアの確認: トラブルに備え、予備のメディアを複数枚準備

・メディアリーダーの動作確認

・メディアケースの準備

周辺機器・アクセサリー、備品の準備

撮影をスムーズに進めるための重要な脇役たちです。

・各種ケーブル:映像ケーブル(HDMI, SDI)、通信ケーブル(USB-Cなど)、充電ケーブルなど、必要なものが全て揃っているか、断線していないか確認

・スタンド、三脚、モニターマウントなど:安定して設置できるか、破損がないか確認

・工具類:プロペラ交換用ツール、簡易な六角レンチセット、精密ドライバーなど、現場での応急処置に必要なもの

・清掃用品:ブロアー、レンズペン、レンズクリーニング液、マイクロファイバークロス、センサー清掃キットなど

・テープ類:養生テープ(機体や地面へのマーキング)、パーマセルテープ(ケーブル固定など)

・マジック、油性ペン:メディアへの書き込み、マーキング用

・筆記用具、メモ帳、撮影ログ用紙:飛行記録や特記事項の記録用

・椅子、折りたたみテーブルなど(必要に応じて)

・レインカバー、タオルなど(天候対策)

・簡単な救急セット:万が一の怪我に備える

・通信手段:トランシーバー、インカムなど、地上班との連携用(特に広い場所や障害物がある場所)

・日焼け止め、虫よけスプレー、防寒着など(天候・ロケーションによる)

予備機材の用意と確認

機材トラブルは避けられない場合もあります。予備機材は撮影続行の生命線です。

・予備プロペラ 破損しやすい部品のため、多めに準備

・予備ダンパー:ジンバルダンパーなど破損しやすい

機材の梱包と搬入方法の確認

現場への安全な運搬も準備のうちです。

安全かつ効率的な梱包方法の検討と実施

専用ハードケース、ソフトケースなどを活用し、衝撃から機材を保護。機材同士がぶつからないようにパット材などを適切に使用。

運搬用具の準備と確認

カート、マグライナー、背負子)、ハードケース(キャスター付き)など、現場の状況(エレベーターの有無、階段、未舗装路など)に合わせた運搬方法を検討し、必要な用具を準備。破損や不具合がないか確認。

現場への搬入経路、移動手段の確認

撮影場所の入口から撮影ポイントまでの距離、経路(階段、段差、狭い通路など)、車両の乗り入れ可否などを事前に確認し、最適な搬入方法を計画。

その他、確認しておきたいこと(安全・法令関連)

直接的な機材準備ではないですが、安全な飛行のために確認すべき重要な事項です。

・飛行許可・承認の確認:許可承認書の有効期限の確認

・飛行計画の通報:飛行エリア、高度、時間、緊急時の対応策などを関係者と共有

・飛行日誌:飛行日誌の携行と確認

・保険の確認:有効期限が切れていないか証書を確認

・当日の天候予測の確認:風速、雨、霧などの気象条件が安全基準を満たしているか。予報が悪化した場合の代替案も検討。

おわりに:万全な準備が最高のパフォーマンスを引き出す

これらの準備を徹底することで、現場でのトラブルを最小限に抑え、撮影そのものに集中できる環境が整います。