トップ» コラム一覧» ドローンカメラマンの撮影準備|CM・映画ロケの本番前の確認事項から当日の動き方まで
CM・映画のロケでドローンチームが現場に入ると、実際にどんな準備をして、当日どう動いているのか——発注する側からは、なかなか見えてこない部分だと思います。
ロケハンや機材確認といった【撮影前】の準備、【本番当日】の動きなど。この記事では、その2つの段階でTRICO.が実際に何をしているのかを、なるべく具体的にご紹介します。
【撮影前】に済ませておくこと
前日までに、本番の構成でセットアップを一度組んでおく
使用する機体・レンズ・モニターといった構成は、ロケハンや撮影部との調整のなかで撮影現場ごとに決まっていきます。
撮影当日までに欠かせないのが本番と同じセットアップを前日までに一度組んでみて、実際に動作するかを確認しておくことです。
これらは当たり前のようですが、先週・前日使えていたからOKとするのではなく現場が変わる際は、機材の点検も含めて必ず実施するようにしています。個々の機材は問題なくても複数機材が関係してくると映像がこなかったり、ケーブルに異常があったりが見つかります。
これらは撮影部さんも機材レンタル屋からカメラ類を借りてきたら必ず実施している内容だと思います。
TRICO.のドローン機材は全て自社機材で完結しています。
CM・映画のドローン撮影ではDJI Inspire 3を軸に運用しており、前日までに確認しているチェック項目の例は以下のとおりです。
| チェック対象 | チェック項目(Inspire 3の場合) |
|---|---|
| 機体・ジンバル | プロペラ・機体各部の外観確認/ジンバルの動作確認とキャリブレーション/本番中の機材トラブルに備えた予備機の動作確認 |
| 通信 | ドローン本体の通信が正しく行えているか(パイロット側のマスタープロポ、カメラオペレーター側のプロポの両方) |
| レンズ・NDフィルター | DL 11/18/24/35/50/75/90mmなどの動作確認、レンズ・NDフィルターの清掃 |
| フォローフォーカス | フォーカス送りが必要なカットでは、3チャンネルフォローフォーカスを接続して動作確認 |
| 伝送・モニター | DJI Transmission、高輝度モニターが正常に映るか、SDI・HDMIなど端子の接続に問題がないか |
| 記録メディア | 収録データを記録するSSD等の本数、フォーマット、収録チェック |
| インカム | Hollyland Solidcom C1 Proなどの無線インカムの通信状態確認 |
これらのチェックを本番当日ではなく前日までに一通り終わらせておくのは、本番当日に未確定な不安要素を残さないためです。
ドローン機材もまだまだ安定しない部分があるので前日問題なく使えていたものが使えなくなったり、ファームが変更になり操作方法が変わっていたり以前使えた機能が使えなくなっていたり毎回確認しておかなければいけない項目がたくさんあります。
機材構成、特に伝送・モニター周りの情報は、決まり次第、制作担当を通じて撮影部にも共有するようにしています。
以前、撮影部の方と現場で雑談していたときに、ドローン側がどんなモニターを持ち込むか分からないまま現場入りすることが多く、モニタリング環境は現場に来てから組み立てることになりがちだと伺いました。事前にモニターの情報が分かっていれば、ディレクターモニターやクライアントモニターへの接続方法もあらかじめ検討できて安心するとのことだったので、それ以来TRICO.が持ち込む機材リストを制作部に送付して、撮影部へ事前に共有してもらうようにしています。

DIPSへの飛行計画を登録する
ドローンを飛行させる場合は、当日の飛行計画を事前にDIPS(ドローン情報基盤システム)で国土交通大臣に通報することが航空法上決められており、通報を怠ると30万円以下の罰金の対象になります。飛行内容によっては空港事務所への連絡が必要なケースもあり、その判断についてはCM・映画・広告のドローン撮影で必要な許可申請|発注前に確認することで解説しています。
TRICO.では、この通報も当日ではなく前日までに済ませておきます。僻地でのロケでは当日現地の通信環境が読めないこともあり、前日のうちに登録しておけば当日の手間になりません。また、一般の方も立ち入れる観光地などでは観光客がドローンを飛ばしていることもあるため、DIPSの重複確認機能を使って、早めに空域の調整に入れるようにしています。
【本番当日】
現場入りは絶対に遅れない
集合時間ぎりぎりに現地入りすることは避けています。かといって早く着きすぎても現場の迷惑になるため、集合時間の少し前に到着できるよう、近隣コンビニなどで待機して時間調整をして現場へ向かうようにしています。
首都高を使用する早朝移動など渋滞が読みにくい状況では、普段の移動時間に1〜1.5時間、場合によっては2時間ほど余裕を持たせて出発することもあります。同じ時間帯でルート検索しておくと同時間帯の移動時間が読みやすいです。
いつでも飛ばせる準備を整える
現場に入ったら、制作部の指示に従ってドローンの準備を始めます。機材の最終のチェックを行い、いつでも飛ばせる状態と、すぐに現場を移動できる状態を同時に整えておくことです。
車両移動がない場合ではマグライナーに機材をのせて効率よく移動できるように、車での現場間移動などがある場合などは車両後部を機材セットしやすいように段取り替えします。
TRICO.はハイエースを機材車にしているので車両後部での機材の展開や移動がある現場も機材を収納することなく移動ができるので撮影がすぐにできるようにしています。

待機中も、現場全体の状況を把握しておく
ドローンパートの出番を待っている間も、TRICO.はできる限り撮影部の撮影状況が見える場所に身を置き、香盤の流れを把握するようにしています。手が空いているスタッフとは会話を交わし、現場の関係性を築くことも大切にしています。
これは単なる気遣いではありません。地上の撮影でトラブルが起きた場合、香盤の順番に関係なく、ドローンのカットが急に回ってくることがあるためです。現場の状況を常に把握しておくことが、こうした急な差し込みにも対応できる備えになります。
出番が来たら、すぐに飛べる状態でスタンバイする
ドローンの出番が近づいたら、監督やカメラマンがすぐにモニタリングしながら飛行を開始できるよう、事前にスタンバイを整えておきます。理想は、撮影部のカットが終わり次第、間を置かずにドローンがスライドインして「すぐに飛べます」と言える状態です。
1回目の撮影が終わったら
初回の撮影が終わったら機体のバッテリーを交換して次の出番に備えておきます。プロポの充電も減っていたらかけておきます。Inspire3は交換式のバッテリーがあるので問題ないですが、Mavicシリーズはプロポの電力消費が結構激しいので撮影の合間に常に充電をかけるようにしています。
天候も考慮して日照条件が変わったらNDフィルターも事前に準備しておきます。
撮影完了後の機材ケアも大事
撮影が終了した後は機材の状態を確認しながら片付けをします。海沿いなどでは潮風で機材を放置しておくと錆びてしまいます。山間部などでは虫の残骸などが付着していることが多いので機材の清掃とチェックがかかせません。ドローン本体だけではなくモニターやスタンドといったアクセサリー類も同様に清掃が必要です。

「見えない工程」が、長く付き合える業者かどうかを分ける
ここまで紹介してきた、現地入りのタイミングの見極め、前日からの機材点検、待機中の現場把握、そしてスタンバイの完了は、いずれも完成した映像そのものには直接映り込みません。発注側の制作会社が普段目にしているのは、あくまで「撮れた画」であり、その画が撮れるまでに現場でどう動いているかは、意識しないと見えてこない部分です。
もちろん、画づくりのクオリティは撮影会社を評価するうえで欠かせない要素です。しかし、それだけで判断すると、1回1回の撮影は成立していても、機材の扱いや安全管理が粗いために、いずれ機材トラブルや事故で撮影自体が止まってしまうリスクを見落とすことになります。長く付き合えるドローン撮影会社かどうかは、画づくりの技術に加えて、当日どう動いているか、機材をどう扱っているか、さらには飛行日誌・点検整備記録といった法律上の要件を日常的に運用できているかどうかで見えてきます。次回の発注前には、画のクオリティだけでなく、こうした当日の動き方・点検の体制についても確認してみることをおすすめします。
よくある質問
Q. 準備にはどのくらいの期間が必要ですか?
A. 機材のセッティングは20分いただければ飛ばせる状態まで整います。現場で一度セッティングしてしまえば、その後の準備時間はほとんどかかりません。
Q. 機材トラブルが起きた場合、撮影は止まってしまいますか?
A. TRICO.では本番中の機材トラブルに備え、予備機を含めた体制で臨んでいます。すぐに予備機に切り替えて撮影続行できます。
まとめ
CM・映画のドローン撮影は、前日までのセットアップ確認・DIPSへの飛行計画登録という【撮影前】の準備を経て、現地入りのタイミング、待機中の現場把握、出番直前のスタンバイという【本番当日】の動きへとつながっていきます。画づくりの良し悪しに加えて、こうした本番当日の動き方や点検・記録の体制まで含めて確認することが、長く付き合えるドローン撮影会社を見極める材料になります。案件の条件が固まっていない段階でもお気軽にご相談ください。

COMPANY
| 会社名 | 株式会社TRICO. |
|---|---|
| 住所 | 〒104-0061 東京都中央区銀座1-12-4 N&E BLD. 7階 |
| 電話 | 090-3355-1480 |
| メール | info@team-trico.com |
| 代表者 | 石山 裕太 |
| 適格請求書発行事業者登録番号 | T1010001241161 |
| URL | https://team-trico.com/ |