企業VP・ブランドムービーのドローン撮影|広告映像で空撮を活かす

投稿:2026年8月31日|更新:2026年8月31日著者:石山裕太 TRICO.代表取締役

ドローン全般

企業VP・ブランドムービーのドローン撮影とは

企業VP(コーポレートビデオ)やブランドムービーのドローン撮影は、テレビCMの空撮とは発注の目的も予算感も異なります。CMは放送というマスメディアへの露出を前提に、15秒・30秒といった限られた尺の中で商品や世界観を伝えることに特化しますが、企業VPは採用サイトのトップ映像、展示会や株主総会での上映、自社ホームページのヒーロー映像、営業資料としての活用など、社内外のステークホルダーに向けて「会社の実態・スケール・カルチャー」を伝えることが主な役割です。

企業VPは誰に見せるための映像か

企業VP・ブランドムービーは、CMのように不特定多数の生活者へ向けた広告とは異なり、映像の種類ごとに主な視聴者がはっきり分かれているのが特徴です。空撮で何を見せるべきかは、この視聴者が「何を知りたいか」から逆算して決める必要があります。

  • 会社紹介VP・施設紹介VP:主な視聴者は商談先の取引先、株主総会の参加者、投資家などビジネス上の関係者です。事業規模や施設のスケール感が信頼判断の材料になります。
  • 採用系VP:主な視聴者は就職活動中の学生、転職希望者、そして候補者を紹介する人材派遣・人材紹介会社の担当者です。規模感そのものより、「働く場所の実際の雰囲気」(通勤動線、周辺環境、オフィスや現場の外観)が伝わるかどうかが重要になります。
  • ブランドムービー:主な視聴者は顧客・生活者全般で、SNSでの拡散や共感形成を意識することが多くなります。

たとえば採用系VPで視聴者が就活生・転職希望者であれば、俯瞰カットは「会社の大きさ」を誇示するより、「通勤のしやすさ」「周辺環境」「オフィスの雰囲気」が伝わる画を優先すべきです。逆に投資家・取引先向けの会社紹介VPでは、事業規模や拠点数の広がりを見せる俯瞰カットの優先度が上がります。発注を検討する担当者は、まず「この映像を誰に見せるか」を整理してから、空撮で見せるべきカットを制作側に伝えると、狙い通りの映像に近づきます。

空撮が効果を発揮する企業VPの具体的なシーン

施設紹介・企業スケールの可視化

工場や物流拠点、本社ビル、キャンパスのような大規模施設は、地上からのカットだけでは全体像や規模感が伝わりません。ドローンによる俯瞰カットを冒頭や締めに挿入することで、視聴者に「どれくらいの規模の会社か」を数秒で伝えられます。特にBtoB企業がクライアントや投資家向けに会社紹介VPを作る場合、この俯瞰カットの有無で信頼感が大きく変わります。複数拠点を持つ企業であれば、拠点ごとの俯瞰カットをつなぐだけで「事業規模の広がり」を語ることもできます。

採用系VP

採用ページやリクルート説明会で使う映像では、就業環境や通勤動線、拠点の立地を空撮で見せることで、地上映像だけでは伝わらない「働く場所のリアリティ」を補完できます。エントランス前に社員が集まるカットをドローンで俯瞰し、そこから地上のインタビューへつなぐ構成もよく使われます。工場や研究施設を持つ企業では、外観の俯瞰から入り、地上での作業風景・インタビューへとつなぐことで、映像全体に「規模感→人・現場」という自然な流れをつくれます。新築・移転したオフィスビルの竣工動画や、オフィス環境の魅力を伝えたい採用VPでは、外観の空撮からそのままマイクロドローンでオフィス内部へ飛行する手法も選択肢になります(詳細は後述の「機材選定」章)。

ブランドムービー

企業理念やビジョンを情緒的に伝えるブランドムービーでは、空撮は世界観を広げる役割を担います。地上のドラマパートと空撮のランドスケープカットを組み合わせることで、CMほどの尺と予算をかけずに映像のスケール感を演出できます。周年記念や新社屋オープンのように「節目」を扱う企業VPでは、季節や時間帯を選んだ空撮カット(早朝や夕景など)が、映像全体のトーンを大きく左右します。

地上撮影との組み合わせ方

企業VPでは、地上のインタビューやオフィス内カット、製品カットとドローンカットを1本の映像内でどう配分するかが構成上の重要な論点になります。一般的には、冒頭・場面転換・締めのタイミングで空撮カットを配置し、本編中盤は地上のインタビューやドラマパートに集中させる構成が使いやすい型です。

TRICO.ドローン撮影担当

空撮機材は用途から逆算して選ぶ(企業VP編)

企業VPの機体選定は、画質の良し悪しだけで決める話ではありません。Inspire 3はZenmuse X9-8K Airにより8K CinemaDNGやProRes RAWでの収録も可能な機体ですが、企業VPの実制作ではこうしたRAWフォーマットが使われる場面は多くありません。編集・グレーディングに割ける予算がCM・映画ほど大きくない企業VPでは、Inspire 3を使う場合でも4K収録にとどめることがよくあります。つまり「Inspire 3だからRAWで撮る」わけではなく、後工程のコストに見合った収録フォーマットを都度選ぶのが実務上の判断です。

そのためTRICO.では、機体選定の軸を画質そのものよりも「撮りたいカットが撮れるかどうか」に置いています。Inspire3の2オペ運用でなければ撮影できないカットなどもあります。

一方、Mavic 4 Proは機動力に優れ、オフィス街や、複数拠点を半日で回るようなスケジュールの企業VPで有効です。セッティング時間の短さと小回りの良さが、企業VP特有の「限られた撮影許可時間」との相性の良さにつながります。

どちらを選ぶかは、(1)撮りたいカット・画角、(2)撮影場所の条件、(3)スケジュールの余裕、(4)予算の4点で総合的に判断します。

機体ごとの詳しいスペック差や選定基準は「Mavic 4 Pro vs Inspire 3|CM・MV・VPでの使い分け」で解説しています。

マイクロドローンによるオフィス内部撮影という選択肢

近年増えているのが、採用系VPやオフィスビルの竣工動画で、プロペラガード付きの超小型機(マイクロドローン)を使ってオフィス内部を撮影する手法です。ビルの外観をドローンで空撮した後、そのまま窓や入口からオフィス内部へ飛行してデスクの間を抜けていくような映像は、通常のジンバルやドリーでは実現できない動線です。TRICO.では狭小空間での接触リスクを抑えたマイクロドローンを使用します。

この手法が効くのは、「外から内部へ」というカメラの動き自体が視聴者にとって新しい体験になるためです。地上のスタビライザーやジンバルは床面を移動する軌道しか作れませんが、マイクロドローンは高さ方向の移動や、什器・パーティションを避けながらの立体的な経路を取れます。オフィスビルの竣工動画では「建物の外観の大きさ」と「内部の空間の広がり」を1カットでつなげられる点が、他社との差別化にもつながっています。

ただし屋内飛行にはGPSが安定しない環境での操縦技術、狭小空間での什器・人・ガラス面への接触リスク管理など、屋外の通常空撮とは異なる注意点があります。実施可否や機体は案件ごとに個別に確認します。

マイクロドローン

撮影までの進行フロー

企業VPのドローン撮影は、当日いきなり飛ばして終わり、という進行にはなりません。一般的には次のような流れで準備を進めます。

  1. 企画・コンテ:どのシーンに空撮を使うか、地上パートとの構成比率を決める。
  2. ロケ地・空域確認:撮影場所が飛行禁止空域や人口集中地区に該当しないか、周辺環境(住宅・道路・電線など)を確認する。
  3. ロケハン:必要に応じて現地で離着陸ポイント、電波状況、日照方向を確認する。企業敷地の場合、施設管理者や警備担当への説明は発注窓口の広報・総務担当者が行い、制作・撮影側はその判断材料となる飛行ルートや必要事項を提示する。
  4. 申請:必要な飛行許可・承認を取得する。取得までに日数を要するため、撮影日の確定前に着手する。
  5. 機材・人員・収録仕様の確定:Inspire 3かMavic 4 Proかマイクロドローンか、収録フォーマット、人員をこの段階で確定する。
  6. 撮影当日:監督・撮影監督とアングル、飛行ルート、レンズ、タイミングを確認し、リハーサル後に本番を収録する。
  7. データ受け渡し:撮影素材を受け渡して編集工程へ

この流れのうち、企業VP特有のボトルネックになりやすいのが撮影場所の許可取得です。ローケーションコーディネーターが入らない場合が多いので企業の敷地以外の撮影許可取りが制作会社もしくはドローン撮影会社が担当することが多くなるので許認可の知識が必要になります。TRICO.では撮影地の確保、道路使用許可の取得なども可能なのでご相談ください。

発注前に整理しておきたいこと

企業VPのドローン撮影を発注する際、事前に社内で整理しておくと打ち合わせがスムーズになるポイントは次の通りです。

  • 映像の用途(採用サイト、展示会上映、株主総会、SNS広告など)と、それぞれで必要な尺
  • 地上撮影とドローン撮影の比率、インタビューやドラマパートとの組み合わせ方
  • 撮影可能日と天候不良時の予備日、季節・時間帯の希望(早朝・夕景など)
  • 撮影場所
  • 社内関係部署(施設管理・総務・広報・役員)への事前共有の要否
  • 想定予算感

企業VPドローン撮影の費用感

費用は予算に応じた人員体制、機材、ロケハンの要否、編集内容などによって変動します。CM・映画・広告案件との費用差や、見積もりの内訳の考え方は「ドローン撮影の費用相場・見積内訳|CM・映画・広告はなぜ高くなる?」で詳しく解説しています。標準的な料金プランは「ドローン空撮料金のご案内」をご確認ください。

TRICO.の企業VP・ブランドムービー撮影体制

TRICO.は東京を拠点に全国対応しています。機材を常時2機運用できる体制と、予備機・予備バッテリー・記録メディアなどのバックアップを踏まえた撮影体制により、本番停止のリスクを抑えながら企業VP・ブランドムービーの空撮に対応します。制作会社・広告代理店経由のご依頼はもちろん、企業広報・採用担当者からの直接のご相談にも対応しています。

よくある質問

Q. 制作会社・広告代理店を通さず、企業から直接相談できますか
A. 可能です。空撮パートのみのご相談、地上撮影を含めた企業VP全体のご相談のどちらも対応しています。

Q. オフィス内部へのドローン飛行はどんな案件で使われますか?
A. 採用系VPやオフィスビルの竣工動画で、外観から内部へ飛行するマイクロドローン撮影のご相談が増えています。屋内飛行特有の安全管理が必要になるため、実施可否は現地条件をもとに個別にご案内します。

Q. 平日の就業時間中でも撮影は可能ですか?
A. 可能ですが、社員の稼働や来客対応への影響を考慮し、飛行ルートやタイミングを担当者と事前に調整します。始業前・昼休み・終業後など、影響の少ない時間帯をあわせて検討することもあります。

Q. 自社の駐車場や屋上からの離着陸でも許可申請は必要ですか?
A. 自社敷地内であっても、エリアにより許可申請が必要な場合があります。案件ごとに個別に確認いたしますのでお気軽にご相談ください。

まとめ

企業VP・ブランドムービーのドローン撮影は、CMとは目的も予算感も異なる映像です。施設紹介や採用、ブランドムービーといった用途ごとに空撮の役割を整理し、Inspire 3、Mavic 4 Proやマイクロドローンを現場条件に応じて使い分けることで、地上撮影だけでは伝わらないスケール感と説得力を映像に加えられます。用途や尺、予算感が固まっていない段階でも構いませんので、まずは撮影相談からお気軽にお問い合わせください。

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著者:石山裕太 TRICO.代表取締役

ドローンカメラマンとして業界歴10年以上。CM、VR、イベント、産業系とオールジャンルの撮影に携わる。 マイクロドローンから超大型機まで、繊細な飛行技術を有する案件が得意。ドローンVR作品は日本各地で上映中。

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