11KドローンVR常設展示事例|丸岡城観光情報センター

投稿:2025年5月28日|更新:2026年10月5日著者:石山裕太 TRICO.代表取締役

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2025年3月15日、福井県坂井市の丸岡城のふもとに観光拠点「丸岡城観光情報センター(丸岡城マチヨリマーケット)」がオープンしました。館内のVRシアターは三方をスクリーンで囲んだ構成で、CGで再現した天守・城下町の映像とあわせて、坂井市内の観光地を紹介する実写映像が上映されています。

株式会社TRICO.は、この実写パートのうち、丸岡城や東尋坊をはじめとする観光名所のドローンVR撮影を担当しました。機材はFreefly ALTA XにInsta360 TITANを搭載した11K対応のシステムです。

案件概要

項目内容
施設丸岡城観光情報センター「丸岡城マチヨリマーケット」(福井県坂井市丸岡町霞町4丁目)
オープン2025年3月15日
上映形態三方をスクリーンで囲んだシアタールームでの常設上映
上映内容CGで再現した天守・城下町の映像/坂井市内の観光地を紹介する実写映像
TRICO.の担当丸岡城・東尋坊などの観光名所の実写VR撮影(空撮および地上撮影)
空撮機材Freefly ALTA X × Insta360 TITAN(最大11K・360°)

VRシアターの目的と、実写ドローンVRの役割

丸岡城観光情報センターは、老朽化した旧観光情報センターと歴史民俗資料館を建て替えて整備された施設です。全面ガラス張りの館内から現存天守を望める立地に、観光案内所・カフェ・物販とVRシアターがまとめて配置されています。シアターでは、江戸時代初期の史料をもとにCGで再現した天守や城下町を、城郭考古学者・千田嘉博氏の解説とともに上映しています。

CGは、現存しない城下町の広がりや当時の構造を見せることに向いています。一方で、いま実際に訪れることができる丸岡城や東尋坊の姿を伝えるには実写が欠かせません。地上カメラだけでは視点が人の目線に限られ、来館者に「空から見下ろす」体験は提供できません。実写のドローンVRは、CGと地上撮影のあいだを埋め、空を飛んでいるような視点で観光地の位置関係やスケールを体感させる役割を担っています。シアターを出た来館者が、目の前の天守や市内の観光地へ実際に足を運ぶきっかけをつくることも、実写パートに求められた役割です。

TRICO.はその構成に沿って、空撮パートのアングルや高度・速度・軌道を具体化し、撮影を担いました。

撮影で求められた条件

三面スクリーンの大画面に耐える解像度

360°映像は、横方向の画素で全周をカバーします。三面スクリーンのシアターでは、そのうち来館者の前方から左右にかけての範囲を大きく引き伸ばして投影するため、1面あたりに使える画素は全体の一部に限られます。家庭用テレビやHMDでは十分に見える8K級の360°映像でも、壁一面の大きさで投影すると解像感の不足が目立ちやすくなります。

現存天守と観光名所での飛行

丸岡城の天守は国の重要文化財に指定されている現存天守です。こうした文化財や観光名所の上空・周辺を飛行する撮影では、航空法上の許可・承認に加えて、施設管理者や地権者との調整、観光客が多い時間帯を避けたスケジュール設計が必要になります。東尋坊のような海岸の景勝地では、海風や断崖周辺での離着陸場所の確保も考慮しなければなりません。

酔わない、機体の写らない映像

VRシアターでは、来館者の視界の大部分が映像で覆われます。急な加速や旋回、細かな揺れは通常の空撮以上に不快感につながるため、飛行はゆっくりと一定の速度で、軌道の変化をなめらかにつなぐことが前提になります。

また、ドローンに360°カメラを搭載すると、撮影素材には機体やプロペラが映り込みます。TRICO.は編集段階でこれらを消し込むため、完成映像は機体の写り込みがない「空を飛んでいる目線」の映像になります。消し込みの精度を上げるためには、撮影段階から機体と映り込みの関係を意識した飛ばし方が必要です。

機材構成:Freefly ALTA X × Insta360 TITANを選んだ理由

Insta360 TITANは、8基の魚眼レンズとマイクロフォーサーズセンサーを備え、最大11Kの360°撮影と10bit収録に対応するシネマ向けVRカメラです。大画面での解像感に加え、センサーサイズに由来する階調の豊かさや暗部の粘りは、夕景や陰影の強い石垣など、観光地の表情を残すうえで効いてきます。

一方で、TITANは重量が約5.5kgあり、一般的な空撮ドローンには搭載できません。撮影当時、TRICO.がTITANを安定して飛ばせる構成は、最大ペイロード15kgのFreefly ALTA Xなどの大型機に限られていました。ALTA Xは機体が大きく、搬入・設営と運用に最低3名の人員を要しますが、11Kの画質で常設上映に耐える素材を確実に撮るために、この構成を選択しました。

なお、より高解像度の選択肢として、TRICO.はGoProマルチカメラによる16K級のシステムも保有しています。16Kは画質で上回る一方、スティッチの工数や機材の運用負荷も大きくなります。本案件では、三面シアターでの上映に必要な解像度を満たしつつ、撮影・後処理の負荷を抑えられる11Kが適していました。8K・11K・16Kの違いは、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:8K・11K・16K VRの違い|シアター・展示・HMDで必要な解像度

現在のMatrice 400 × TITANなら何が変わるか

TRICO.は2025年8月にDJI Matrice 400を導入し、TITANを搭載した11KのドローンVR撮影をこの中型機で行える体制を整えました。画質は同じTITANの11Kのまま、運用面が大きく変わっています。

項目撮影当時(ALTA X × TITAN)現在(Matrice 400 × TITAN)
現場の人員最低3名2名で運用可能
移動車両ハイエースクラスプロボックス等の商用バンクラスでも可能
実運用の飛行時間10〜15分程度約25〜30分(TITAN搭載時・条件により変動)
撮影できる条件搬入・設営の負荷が大きく、山岳や小型船舶では成立させにくい山頂への機材搬入、漁船などの小型船舶からの離発着、氷点下での運用が現実的に

丸岡城のような観光地での撮影に当てはめると、機材が小さくなったことで離着陸地点の選択肢が広がり、設営から飛行開始までの時間も短くなります。観光客の少ない早朝の限られた時間で複数のカットを撮る、天候の回復を待って短時間で撮りきる、といった条件では、この差が撮影できるカット数に直結します。東尋坊のような海岸線は、船上からの撮影も選択肢に入るようになりました。

一方で、Matrice 400の最大ペイロードは6kgで、TITANより重い機材を載せる構成では大型機が選択肢になります。どの構成で撮るかは、撮影内容と現場の条件を見て判断します。現行システムの詳細は以下の記事で紹介しています。

関連記事:11KドローンVR撮影|Matrice 400×Insta360 TITANの現行システム

常設展示・VRシアターの撮影を計画している方へ

VRドローン撮影は、案件ごとに前例のない条件に向き合うことが当たり前の分野です。TRICO.は、案件の用途に合わせた機材検証から請け負い、新しい機材構成の立案から実運用までを担当しています。ラインナップにない他社運用の機材にも対応でき、国内で前例のない機材での撮影も、テストを重ねたうえで実施してきました。Matrice 400のジンバルに搭載できるCanonの180°VRレンズ(デュアルフィッシュアイ)のシステムもそのひとつです。

自治体・公共施設の公募では、ドローンオペレーターの実績提出を求められることが多くあります。TRICO.は国立公園や世界遺産など重要施設上空での飛行実績を含め、コンペ用資料の作成・提出の経験が豊富で、VR映像案件のコンペ参加を計画している制作会社・展示企画会社からのご相談にも対応しています。

ご相談の際は、上映形態(シアター・HMD・Web)、ロケ地と時期、想定尺、必要な解像度と納品形式をお知らせいただくと、機材構成と費用の目安をスムーズにご提案できます。費用の考え方は料金ページにまとめています。

関連記事:ドローン空撮料金|CM・映画・ドラマ・MV・VP・VR

よくある質問

常設シアター向けのVRには、どのくらいの解像度が必要ですか?

A:上映するスクリーンの大きさと面数によって変わります。自治体・公共施設の案件では、公募の仕様書に必要な解像度が記載されていることがほとんどです。三面スクリーンやドームなどの大画面では、8K級の360°映像だと解像感が不足しやすく、11Kや16Kのシステムが選ばれます。TRICO.は11K(Insta360 TITAN)と16K(GoProマルチカメラ)の両方に対応しています。

完成映像にドローンの機体は映りますか?

A:撮影素材には機体やプロペラが映り込みますが、TRICO.では編集段階で消し込みを行います。完成映像は機体の写り込みがない、空を飛んでいる目線の映像になります。

同じ映像をVRゴーグルでも見られるようにできますか?

A:可能ですが、シアター用の高解像度データをそのまま再生できるわけではありません。一般的なHMD(VRゴーグル)は処理性能の制約から高解像度データを再生できないため、解像度を大きく下げた視聴用データを別に作成します。Apple Vision Proクラスの機器であれば高解像度での再生も可能ですが、高額なため来館者向けの常設体験には向きにくいのが実情です。

地上のVR撮影やCGと組み合わせた制作にも対応できますか?

A:対応しています。本案件でも、CGで再現した天守・城下町のパートと組み合わせる前提で、空撮と地上の実写素材を撮影しました。VRは空撮だけで作品になるものではなく、地上撮影やCGと組み合わせて完成するため、制作全体の構成を踏まえて撮影内容をご相談ください。

文化財や観光名所の上空でも撮影できますか?

A:航空法上の許可・承認と、施設管理者・地権者との調整が整えば撮影できる場合があります。必要な手続きは場所ごとに異なるため、ロケ地が決まった段階でご相談ください。TRICO.は申請業務を社内で行っており、重要施設上空での飛行実績もあります。

■施設情報

名称: 丸岡城観光情報センター「丸岡城マチヨリマーケット」
所在地: 福井県坂井市丸岡町霞町4丁目12
主な施設内容: 観光案内カウンター、休憩スペース、土産コーナー、カフェ、VRシアター
開館時間: 8:30~17:00(年末年始を除き無休)
公式サイト:https://maruokajo-machiyori.jp/

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著者:石山裕太 TRICO.代表取締役

ドローンカメラマンとして業界歴10年以上。CM、VR、イベント、産業系とオールジャンルの撮影に携わる。 マイクロドローンから超大型機まで、繊細な飛行技術を有する案件が得意。ドローンVR作品は日本各地で上映中。

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〒104-0061 東京都中央区銀座1-12-4 N&E BLD. 7階
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代表者 石山 裕太
適格請求書発行事業者登録番号 T1010001241161
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